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広島高等裁判所松江支部 昭和55年(行コ)4号 判決

鳥取県米子市皆生一七二六番地

控訴人

東光産業有限会社

右代表者代表取締役

山川忠善

右控訴代理人弁護士

下田三子夫

下田三千男

同米子市西町一八番地二

被控訴人米子税務署長

杉本和行

東京都千代田区霞が関一丁目一番一号

被控訴人

右代表者法務大臣

奥野誠亮

右両名指定代理人

原伸太郎

平元勝一

神田良実

伊藤和義

角満美

益池勝

吉川定登

渡辺忠義

右当事者間の昭和五五年(行コ)第四号法人税更正決定取消等請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一  当事者の求めた裁判

1  控訴人

(一)  原判決を取消す。

(二)  被控訴人米子税務署長が昭和五一年三月三一日付をもってした、控訴人の昭和四七年四月一日から昭和四八年三月三一日までの事業年度分法人税について、所得金額を二〇九〇万八五四一円、その法人税額を七二五万一二〇〇円とする更正決定及び重加算税額を一〇万五九〇〇円とする賦課決定のうち、所得金額一八六〇万八五四一円を超える部分、その法人税額六四三万一五〇〇円を超える部分及び重加算税額の部分をいずれも取消す。

(三)  被控訴人国は控訴人に対し、二八七万三七〇〇円及びこれに対する昭和五二年五月一二日から支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。

(四)  控訴費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

との判決並びに第三項につき仮執行の宣言

2  被控訴人ら

主文と同旨の判決(なお、被控訴人国において担保を条件とする仮執行免税の宣言)

二  主張及び証拠

当事者双方の主張並びに証拠の関係は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決四丁表九行目の次に、行を改めて、「(なお、予備的主張として、)控訴人は、本件建物の滅失登記手続費用三七〇〇円を司法書士三原政雄に支払ったのであって、これは控訴人支出の費用である。」と挿入する。

2  原判決一〇丁表七行目の次に、行を改めて、「予備的主張の滅失登記手続費用三七〇〇円は、長田が控訴人を通じて司法書士三原政雄に支払ったものであるから、控訴人支出の費用であるとの主張は失当である。」と挿入する。

3  原判決二三丁表三行目の「長田」とあるのを、「長岡」と訂正する。

4  原判決二八丁裏四行目に「官公署」とあるのを「官署」と訂正する。

理由

当裁判所の判断は、次のとおり付加するほか、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決二九丁裏一行目の次に行を改めて、「(二)もつとも、前記乙第二二号証の一では、長田が三六〇万円のほかに山川に支払ったのは一八万五〇〇〇円だと言うのであって、前記乙第二三号証の記載とはその額が異なるが、しかし、長田が山川を通じて浦川に支払った一万五〇〇〇円についてこれを否定しているのではないから、右乙第二二号証の一は、三六〇万円のほかに長田が山川に支払ったのが二〇万円であったと認定する妨げとなるものではない。また、浦川への交渉手数料一万五〇〇〇円については、中国機動が本件土地一について借地権を有していたとしても、前記乙第一九号証の二によれば、中国機動の代表者松本春男は右土地上の本件建物を浦川に売却する際、借地権料又は明渡し料等請求せず、異議なくこれを明渡したこと、本件建物の前記取得価格のほか成立に争いがない乙第二九号証によればその一階の床面積が八一・一五平方メートルに過ぎないことがそれぞれ認められ、これらの事実等と対比すれば、右交渉手数料の額が一万五〇〇〇円であると認定しても何ら不合理ではないというべきである。」と挿入する。

2  同丁裏二行目「(二)」とあるのを「(三)」と訂正する。

3  同丁裏一一行目「矛盾すること」の下に、「、長岡に取壊しを依頼し一八万五〇〇〇円を同人に支払っていることとも矛盾すること(なお、山川が右取壊しを浦川と長岡に二重に依頼したという可能性は、両名と山川との間での何らかの紛議、調整あるいは浦川からの取壊代金返還等の事実が全く窺われないので、これを否定すべきである。)」と挿入する。

4  原判決三〇丁表二行目「(三)」とあるのを「(四)」、同丁表五行目「(四)」とあるのを「(六)」と各訂正する。

5  同丁表四行目の次に、行を改めて「(五)控訴人が予備的に主張する建物滅失登記手続費用三七〇〇円については、その形式及び趣旨により公文書であると認められるから真正に成立したと推定すべき乙第二〇号証の一、二、前記乙第二三号証によれば、右費用の額は三七〇〇円であったこと、これを土地家屋調査士三原政雄が受領していることが認められる。しかして、これを同人に直接支払った者が山川であるにしても、同人がこれを負担したと速断すべきでないことはいうまでもないところ、前記乙第二二号証の二、第二三号証によれば、長田がこれを負担していると認められるのであって、これを覆すに足りる証拠はないから、右建物滅失登記手続費用三七〇〇円を控訴人支出の費用とみることはできない。」と挿入する。

6  原判決三二丁表一行目「認められない。」の下に、「もっとも、甲第二五号証は、成立に争いのない乙第四号証の筆跡と類似していると思われるが、しかし、前田盛常の筆跡であることが明らかな、成立に争いのない乙第七号証中の同人の筆跡とは明らかに異なっており、むしろ、甲第一二号証と対比すると、山川の筆跡ではないかと思われ、そうすると、乙第四号証の筆跡と同じだとしても、甲第二五号証の成立を肯認しなければならないものでもない。」と挿入する。

7  同丁裏六行目「甲第一一号証は」の下に、「原審における控訴人代表者の供述(一部)によれば筆跡は山川のものであり、そして、前記乙第一一号証によれば宮崎幸子が山川に印鑑を渡して同人が押印したものと認められ、その際、宮崎幸子が領収書(甲第一一号証)の内容を確認したことを認めるに足りる証拠はなく、結局、甲第一一号証は」と挿入する。

8  原判決三三丁裏四行目「しがたいので」とあるうち、「ので」を削り、その下に、「うえ、原審における控訴人代表者の供述によると、二三万一〇〇〇円は、土地を当初は一九八〇平方メートルとして計算していたところ、現実には二〇五〇平方メートルあったので坪単価一万〇五〇〇円として計算した分であるというが、計算上そごするので、」と挿入する。

したがって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないのでこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤原吉備彦 裁判官 萩原昌三郎 裁判官 安倉孝弘)

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